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掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)について

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは炎症性角化症という皮膚病に属する疾患で、手のひらや足の裏に小さな点状の膿疱(無菌性)が多発し、皮膚がぼろぼろむけてきたり、ぶ厚くなってくる慢性的な疾患です。時には膝や肘を中心に赤い斑点が生じる乾癬(かんせん)という疾患や、胸骨・肋骨・鎖骨周囲の関節炎を合併することもあります。

原因は?

いまだはっきりと解明されてはいませんが、以下のものは発症に関与していることがわかっています。

  1. 慢性感染症(虫歯、扁桃炎、慢性副鼻腔炎、慢性胆嚢炎など)。
  2. 金属アレルギー (歯科金属など)
  3. その他(自律神経失調説など)

検査

体内に感染巣がある場合は、血液検査の他、可能であれば細菌培養(咽頭培養など)をおこなって原因菌をさぐります。金属アレルギーが疑われる際には、いろんな種類の金属の水溶液を皮膚に貼り付け、皮膚の反応を見る「金属パッチテスト」という検査をおこないます(別紙もご参照ください)。なお足白癬(みずむし)との鑑別のためには、顕微鏡検査を行います。

治療

掌蹠膿疱症の治療では強めのステロイド軟膏を使用します。手のひらや足の裏は、皮膚が厚くて薬が吸収されにくい場所なので、強い薬でないとなかなか効果があがりません。よくなれば、ステロイドの強度を弱めたり活性型ビタミンD3軟膏を併用したりします。軟膏を外用後に、可能であればガーゼで保護したり、さらに手の症状には、綿手袋などで保護していると治療効果が高まります。また付け薬とともに、飲み薬(抗アレルギー剤ないしステロイド含有剤+抗生物質)による治療も併用することもあります。治療経過は早くて1~2ヶ月ですが、数年に渡ることもあります。しかしいったん軽快よくなったように見えても、しばらくして再発することも多いので、治療にはしばしば根気が必要です。なお金属アレルギーが証明された場合には、歯科金属など体内の金属を除去することも、ひとつの有効な方法です。また慢性扁桃腺炎を含め、体内に炎症巣のある場合には、それらの病巣の治療(扁桃腺摘出など)が有効な場合もあります。また、関節炎を合併した場合は整形外科と連携しながら治療しますが、まずは安静が第一ですので、入院が必要となる場合もあります。