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動物性脂肪を避ける食習慣のすすめ

最新のシミュレーションでは、現在の小中学生の約半数が100歳以上に達するといわれています。そして、超高齢化社会において懸念される三大疾病は、糖尿病・がん・認知症でしょう。肥満は、これら三大疾病の強いリスク因子であり、新型コロナ感染症においても、重症化リスクとなることは周知となりました。

私たちの食事の中で、この肥満に大きく影響するのが、動物性脂肪です。動物性脂肪の過剰摂取は、からだ(生物としての栄養を制御する生化学的な反応)と心(喜びや満足といった精神活動)の両者に悪影響を及ぼします。動物性脂肪を習慣的に摂取すると、食欲の抑制をするホルモンがうまく働かなくなり、脳内に炎症を引き起こし、将来的な認知症発症のリスクが高くなります。また、糖代謝がうまく働かなくなり、2型糖尿病のリスクも上昇します。

恐ろしいことに、動物性脂肪の過剰摂取をしていると、食欲の抑制に働くレプチンという物質がうまく分泌されなくなり、満腹感が得られないので、高脂肪の食事をさらに食べ続ける悪循環に陥ります。さらに、脳内の炎症は、コカインやヘロインといった麻薬の依存性に似た依存状態を作り出し、その強さは麻薬をも凌駕することが報告されています。脂肪を食べても食べても満足できない脳になってしまうのです。

た依存状態を作り出し、その強さは麻薬をも凌駕することが報告されています。脂肪を食べても食べても満足できない脳になってしまうのです。

加えて、肥満の父親を持つ子供は成人後に太りやすくなるという研究もされています。人間の一部の遺伝子は、生活習慣により読まれやすさが変わることがわかっています。(エピゲノム変化)動物性脂肪を好み、運動していない父親の精子の遺伝子群に、効率にエピゲノム変化が起こっていることがわかっています。ラットでは、高脂肪食を好む母親の好みは、子供にも引き継がれ、脳内エピゲノム変化の関与が示唆されています。つまり、肥満は遺伝するのです

日本において、BMI25以上の肥満者の割合は、男性で32%、女性で20%弱です。ここ10年ほどで見ると、女性はほぼ横ばいですが、男性は緩やかに約2%増加しています。みんなが、健やかに老いる(=健康寿命が伸びる)には、さまざまな疾病のリスク因子である肥満を抑制しなくてはならない、その一助として動物性脂肪の摂取を控えた生活習慣にすることを、強くお勧めいたします。