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脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)の治療

脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)とは?

頭部や顔面の正中部(眉間、鼻の脇、口ひげの部分)は脂漏部位といい、皮脂の分泌が多い場所です。この部位を中心に生じやすい湿疹を、脂漏性皮膚炎ないし脂漏性湿疹といいます(わきの下や陰部にも生じます)。顔面や頭部では、がさがさと肌荒れして、フケや粉をふいたようになり、赤く炎症を生じて痒くなったりします。

原因は?

脂漏部位は体調によって皮脂の分泌が多くなったり、アンバランスから肌あれを起こしやすい場所といえます。特に乳幼児と中高年以降、特に男性の方では、この傾向が強まります。さらに、肌荒れがひどくなると、皮膚表面のバリヤー機能が壊れた状態となり、いろいろな刺激成分(石鹸、シャンプー、お化粧など)が侵入しやすくなって、皮膚炎が生じやすくなります。また最近、この炎症には皮膚に常在する真菌(カビ)の一種が、大きな原因となっていることが判明しました。つまり脂漏性皮膚炎は、体調のアンバランスから生じた皮膚表面の肌荒れに、真菌の繁殖と外界からの刺激が複合的に作用して炎症を生じさせているもの、と考えられるわけです。

実際の治療は?

上記の脂漏性皮膚炎の特徴をふまえた上で、治療することがとても重要です。つまり基本的に、ご自分で体調管理をしていただき肌荒れに気をつける必要があります(度重なる飲酒や深酒、食事のアンバランス、睡眠不足は脂漏性皮膚炎の悪化原因としてよく知られていますので、ご注意ください)。塗り薬は、弱いステロイド外用剤から開始し、経過によっては抗真菌剤を併用します。顔には軟膏やクリーム、頭皮には液体のものを使用します。1日2回、朝とお風呂上がりにお塗りください。液体は指の腹に数滴ずつたらして、頭皮に軽くすり込んでください。内服はビタミンB2,B6です。かゆみ止めの内服薬も併用すると治療効果が高まります。なお頭の中は毛で隠れているため、かゆみが止まっても治療を急にやめてしまうと、症状がぶり返します。かゆみがおさまるのと、皮膚炎が治るのは全く別物です。地道にお薬を続けましょう。通院は1~2週間に1度です。

注意すべき点は?

外からの刺激を極力おさえるように、シャンプーや石鹸などは弱酸性のものを使用しましょう。最近は脂漏性皮膚炎用の抗真菌剤(硝酸ミコナゾール)入りのシャンプーや石鹸も市販されております(持田製薬:コラージュフルフルシャンプー/ソープ)。